422 :名無しさん@お腹いっぱい。 2012/03/25(日) 02:33:36
 取引先の営業から紹介された新人のアシスタントは、今まで
初対面では誰も読めなかった珍しい俺の名字を一発で読んだ。
「お、すごい。これいきなり読める人なかなか居ないんですよ」
「えと、高校の頃の知り合いに同じ名字の人が居まして」
 俺はそれが彼女との初めての会話だとずっと思ってた。

 実はそうじゃなかったって事は、彼女と付き合う様になって
しばらくしてから教えてもらった。それは俺高3・彼女高1の頃。
「どしたの?パンク?」
「いえ、チェーン外れちゃったみたいで」
 自転車で帰宅しようとして学校の駐輪場で困ってた彼女に、
最初に声をかけたのが実は俺だった。恩着せがましい事を言う
でもなく、手の油汚れを気にするでもなく応急処置を済ませて、
「一度自転車屋さんに見てもらってね、じゃ、気をつけて」
「あの、ありがとうございました」
 そのお節介焼きな物好きが生徒会長だということを、彼女は
数日後の全校集会で知った。
「それで、実は密かに憧れてたんですよ」
 でも、なんの接点も無い高校生の2年差はそれなりに大きく、
結局何もできないまま、密かな憧れのまま、生徒会長は卒業。

でも、印象に残った珍しくてめんどくさい名字は忘れられず、
だから、就職して初めて名刺交換した相手があの時の生徒会長
だと、実は疑いもせず確信していたらしい。
「忘れられませんよ、かっこ良かったから。あの頃は」
 でも、まさかその珍しくてめんどくさい名字を自分で名乗る
ことになるとはさすがに考えてなかった、と彼女は笑った。




423 :名無しさん@お腹いっぱい。 2012/03/25(日) 03:15:59
>>422
お前さんかっこいいな
428 :名無しさん@お腹いっぱい。 2012/03/25(日) 07:47:15
>>421
鉄拳の振り子
これだな



俺も好きだ
429 :名無しさん@お腹いっぱい。 2012/03/25(日) 09:15:48
>>422
エンディングが洒落てるな。
430 :名無しさん@お腹いっぱい。 2012/03/25(日) 11:26:28
>>428
昼間から泣かせやがって
どうしてくれるんだ
424 :名無しさん@お腹いっぱい。 2012/03/25(日) 03:40:03
>あの頃は
425 :名無しさん@お腹いっぱい。 2012/03/25(日) 04:32:04
いい話聞けたわ
なんかほっこり出来た
432 :名無しさん@お腹いっぱい。 2012/03/25(日) 20:59:48
>>422
あの頃はカッコ良かったって、過去形かよw
それと、自転車の一件ておまいの方は嫁さんをどう思ってた?
誰にも言わないから俺に聞かせてみ?
435 :422 2012/03/25(日) 22:34:41
 読んでくれてありがとう
 客観的に解り易く書くのを意識し過ぎて、読み直すと自分でも
なんかちょっと…な感じの文章になっちゃってるが、許してw

>>432
 ほぼ外見と学校行事関係での印象しかなかった当時はかっこ良
かったが、人間性.の内面知った後は「かわいい?」だそうだw
というか、そもそものかっこ良かったって評価自体が、嫁さんの
贔屓目だな。俺なんて、タッパあるだけのヒョロいメガネだしね。
当時も今もフツーですよフツー。
 自転車の件は嫁さんに話聞くまで完全に忘れてたくらいだから、
当時は勿論なんとも思ってない。だいたいチェーンくらいだったら
相手が男でも助けてやっちゃうよ。毎日使うものなんだし、次は
自分で直せってお説教も付けるけどね。

 さて、そもそも下の名前が男女どっちでも通用する字の嫁さん、
俺の名字に代わって全体的に字面がイカメシイ感じになった結果、
名前はなんか凄そうなのに、本人はちょっとだけ天然入った癒し系
な感じの童顔なもんだから、ギャップが効いて仕事相手に良く顔を
覚えてもらえるようになったと喜んでる。
 結婚当初は、さんざん営業に通って売ってきたのは自分かよ、
と良くからかわれてたみたいだけどねw
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